日本酒のラベルや紹介文で見かける「金賞受賞」の文字。実はこれは、1911年(明治44年)から続く「全国新酒鑑評会」という、日本でもっとも歴史の長い日本酒のコンテストに由来します。本記事では、その仕組みと金賞酒の見方を分かりやすく解説します。
全国新酒鑑評会とは
全国新酒鑑評会は、独立行政法人酒類総合研究所と日本酒造組合中央会が毎年共催する、全国規模で開催される唯一の清酒鑑評会です。その年に造られた新酒の製造技術と品質を調査・研究し、業界全体の技術向上に役立てることを目的としています。
出品から金賞までの流れ
出品されるのは、酸度0.8以上と規定された吟醸酒の原酒で、清酒の製造免許を持つ製造場であれば、1ヶ所につき1点を出品できます。審査は「予審」と「決審」の2段階で行われ、予審で優秀と認められたものが「入賞」、その中から決審で特に優れていると判断されたものに「金賞」が授与されます。
金賞はどれくらい狭き門なのか
年度によって変動しますが、出品数のうち入賞するのは概ね半数程度、その中でも金賞に選ばれるのは半数前後とされています。金賞は選考の信頼性が高いことから、日本酒業界で最も権威ある賞のひとつとされています。
金賞受賞数が多い都道府県
金賞の受賞数は都道府県によって差があり、近年では福島県が複数年にわたり受賞数1位を記録するなど、上位の常連となっている地域があります。新潟県・長野県・兵庫県・山形県なども、毎年上位に名を連ねる酒どころです。受賞数は年度ごとに発表されるため、最新の結果は酒類総合研究所の公式発表で確認しましょう。
「金賞酒=一番美味しい酒」とは限らない
ここで注意したいのは、金賞は「吟醸酒の品格及び飲用特性」という審査基準に基づいて、専門家が技術力を評価するものであり、必ずしも一般消費者にとっての「好み」や「美味しさ」と一致するとは限らないという点です。甘口・辛口の選び方ガイドでご紹介した甘口・辛口の好みなど、金賞とは別の軸で選ぶことも大切です。
鑑評会と特定名称酒の関係
出品される吟醸酒の原酒には、精米歩合・特定名称酒の違いでご紹介した精米歩合の基準を満たす、各蔵の技術を結集した大吟醸酒・純米大吟醸酒が多く選ばれます。鑑評会出品酒は、まさに純米大吟醸とは?でご紹介した純米大吟醸クラスの技術の粋を集めたものといえます。
金賞受賞蔵・入賞蔵の日本酒10選
金賞・入賞の実績を持つ蔵元の代表銘柄を10点ご紹介します。価格帯は720mlサイズを基準とした目安です。
| 商品名 | 蔵元・産地 | 特徴 | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| 真澄 純米大吟醸 | 宮坂醸造/長野県 | 金賞受賞数上位常連の長野県を代表する蔵元のひとつ。端正な味わいの大吟醸クラス。 | 4,000〜8,000円 |
| 大七 箕輪門 | 大七酒造/福島県 | 金賞受賞数上位の常連県・福島を代表する蔵元。生酛造りの技術力が光る純米大吟醸。 | 5,000〜9,000円 |
| 黒龍 大吟醸 | 黒龍酒造/福井県 | 鑑評会出品クラスの技術が注ぎ込まれた、クリアで上品な香りの大吟醸。 | 3,500〜10,000円 |
| 一ノ蔵 金賞受賞蔵の大吟醸 | 一ノ蔵/宮城県 | 金賞受賞歴を持つ宮城の代表的な蔵元。バランスの取れた端正な味わい。 | 3,500〜7,000円 |
| 真澄 純米吟醸 あらばしり | 宮坂醸造/長野県 | 鑑評会出品酒のような華やかな香りを、手に取りやすい価格帯で楽しめる一本。 | 2,500〜4,500円 |
| 蔵王 純米大吟醸 | 蔵王酒造/宮城県 | 金賞受賞歴を持つ蔵元による、技術力の高さを感じる純米大吟醸。 | 3,500〜7,000円 |
| 乾坤一 純米大吟醸 | 大沼酒造店/宮城県 | 金賞受賞歴を持つ小規模蔵による、丁寧な手造りの純米大吟醸。 | 4,000〜8,000円 |
| 黒龍 石田屋 | 黒龍酒造/福井県 | 鑑評会に出品される最高峰クラスの技術が結集した、希少な限定大吟醸。 | 10,000〜20,000円 |
| 十四代 純米大吟醸 | 高木酒造/山形県 | 金賞受賞数上位常連の山形県を代表する人気銘柄。入手困難な希少酒。 | 8,000〜20,000円 |
| 金賞受賞酒 飲み比べセット 300ml×3本 | 各蔵元 | 複数の金賞受賞酒を少量ずつ飲み比べられるセット。技術の違いを体感できる入門編。 | 5,000〜8,000円 |
よくある質問
Q「金賞受賞」のラベル表示は毎年更新されますか?
鑑評会自体は毎年開催されますが、受賞したという事実は変わらないため、過去の受賞歴をラベルに記載し続ける蔵元もあります。最新の受賞情報は酒類総合研究所の公式発表で確認できます。
Q金賞を受賞した日本酒は市販されていますか?
出品酒そのものは非売品の場合もありますが、多くの蔵元では、金賞受賞の技術を生かした同等クラスの商品を市販しています。
Q各都道府県の鑑評会と全国新酒鑑評会は違うのですか?
はい、異なります。全国新酒鑑評会は全国規模の唯一の鑑評会ですが、各国税局管内でも個別に新酒鑑評会が開催されています。
Q金賞受賞酒は高価ですか?
技術力の高さから比較的高価格帯になる傾向はありますが、大吟醸・高級ギフトの価格帯別選び方ガイドを参考に、予算に応じた選択肢を探すこともできます。
Q金賞受賞蔵の通常ラインナップも美味しいですか?
多くの場合、金賞受賞の技術はその蔵の他の商品にも生かされているとされていますが、味の好みは個人差があるため、実際に試してみることをおすすめします。
まとめ
全国新酒鑑評会は、1911年から続く、日本酒業界でもっとも権威のあるコンテストです。金賞は技術力の高さを示す指標ですが、必ずしも個人の好みと一致するとは限りません。純米大吟醸とは?・甘口・辛口の選び方ガイド・精米歩合・特定名称酒の違い・杜氏と蔵元の違いとは?・日本酒の歴史を知ると合わせて、技術と好み、両方の視点から日本酒選びを楽しんでみてください。
お酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。妊娠中・授乳中の飲酒はお控えください。
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